数学的思考力→『細野真宏の数学嫌いでも〜』②

 では、お約束どおり、さっそく『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に
身につく本』 (ながっ)の解説を。
 そのまえにひとつだけいっておきたい。
数学的思考力とことばだけ聞くと、ちょっと尻込みしたくなる方がいらっしゃるかもし
れない。
わたしもそうだった。
だが安心してほしい。
べつに数学ができなくても全然かまわない。
うん。ほんとに。
じゃ、なにが必要なのか?
論理的思考力である。


<数学的思考法とは>


  そもそも数学的思考力とは論理的思考力のことであり、筋道を追って考えられる力に
すぎない。
だから、数学が苦手だったという方(←わたしです)でも臆する必要はまるでない。
 といっても、論理学が楽勝ということではないです。論理学は奥深い学問であり、ちょ
こっと論理学の本をかじっただけのわたしのような輩が軽々しくこのような軽率な暴言を
吐いていいものでは全然ないことは承知している。しかし、ここで主張したいのは、数学
にいだいている苦手意識はとりあえず棚上げしておきましょう、ということ。
 そもそも論理なんて普段使っているもの(言葉の意味的なつながり)だ。友人と話して
いて「おい、いまの話、さっきと言ってることが矛盾してるぞ」みたいにツッコミ入れて
る。それは、とりもなおさず、論理が追えているから言えることであって、もし話の意味
のつながりが理解できていないなら、どこが矛盾しているかなど指摘できるわけがない。
ぜんぜん、ない。
だからご安心を。
では、次へ移る。


<y=x的勉強法からy=x²的勉強法へ>


  まず、y=X的勉強法は効率が悪いといってます。
どんな勉強法かというと「知識をどんどん増加させていく勉強法」のことです。
ようするに、映画なら映画の知識をひとつずつインプットしていくという方法のこと。
教養を高めるための王道みたいなもんでしょうね。
 まぁ、しかし、幼少の頃からそのような教育をうけてくれば別ですけど、大学を卒業し
て社会人になってから勉強しようと思ったら、とてもじゃないけど遅れを挽回できない。
使い切れないくらいあった学生時代にくらべ、今同じように捻出できるハズがない。
かりになんとかして捻出できたとしても、いまさら学生のようにひとつずつ暗記して覚え
ていくのは非効率的である。もっと学習効果を加速させたい。大人は時間がないからね。
 というわけで、別の方法が必要になる。
そこで著者が提案するのはy=x²的勉強法。
ひとつのことがわかると、それまでのことと関連して飛躍的の多くのものがわかるように
なる、 という勉強の仕方のこと。


 具体例を考えてみよう。
たとえば「デフレ」。
デフレってのは、経済学的概念の一つで、ひと言でいってしまえば、「モノの価格がど
んどん低下していく現象のこと」である。
 どんなふうに低下していくのかというと、


 モノの価格が下がる(A)→企業の純利益(売り上げからコストを引いた利益)が減る
(B)→従業員に支払う 給料が減る(C)→モノを買う購買力が下がる(D)→モノの価格が下
がっていく(E)


というようにプロセスをたどる。
 で、このようにチャートで示されるものが数学的思考というヤツ。
それに。
ね。
これって論理でしょ。
これができると、論理の組み立て方がわかる。論理の組み立て方がわかれば、他の概念を
学ぶときにも応用できる。そして学んだものどうしがかけ算のように絡み合って、学習効
果が加速していく、というわけ(だそうです)。


  いままでの勉強法でいけば、「デフレ」=「モノの価値がどんどん低下していく現象の
こと」とブツブツ唱えるようにして記憶していた。
けど、そのような関連づけされていない知識は、使わなければすぐに忘れてしまう。
だから「えっと、デフレってなんだっけ?」と思い出そうとしたとき、定義は思い出せな
い。逆に言えば、どのような仕組みだったのかを考えられればいつでも思い出せる、とい
うわけ。
 つまり知識を詰め込むのではなく、方法を学べ、と。
この場合でいえば、論理を組み立てること。
ゆえに勉強を加速させるなら、この論理を組み立てる力を涵養することこそ大切だ、とそ
いうことになる。


 って、ちょっと突っ走りすぎたね。
それに、さきほど書いたチャート(論理)ではわからないという向きがあるかもしれない。
これはありえる。
  なぜというに、論理に飛躍があるから。
どこが?ということと、言及できなかった「思考の歩幅」などについて、また明日続きを
書きたいと思う。


細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!

細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本!