2008-01-01から1年間の記事一覧

たまには哲学

あんまりよいこといってるので、備考録として。 人間は自らの知をたよりに行為する存在者であるが、その知は狭く暗い。したがって、自 分が人生へ投げ込んだ意図の波紋を見透かすことができない。人間の行為が思わざる致命 的結果となって自分自身へはねかえ…

資本主義は差異を食って生きている

岩井克人さんの『資本主義から市民主義へ』を読む。 おもしろい。 デ・ファクト・スタンダードというのは直訳すれば「事実上の標準」ですが、「あるモノ が標準として使われているのは、それが標準として使われているという事実以外にはなん の理由もない」…

iPhone所感

2週間ほどまえ、原チャリで公道を走っていたら、軽自動車に衝突された。 うぅ。痛い。 しかし、死を直感したその瞬間、カラダ以上に背負っていたMacbookが心配だった。 物神化、ここに極まりである。 それはともかく。 その事故で、背負っていたリュックの…

「細野真宏の数学嫌いでも〜」?の補足

きのうのエントリーを読まれた方で(たいへんな長文をご苦労様でした)、 なんとな くわかりかけたけど、でもわからない(ごもっともです)というかたは、 西林克彦さん の『わかったつもり 読解力がつかない本当の原因』をお読みください。 たいへんわかり…

思考の歩幅→『細野真宏の数学嫌いでも〜』③

まず、このあいだのまとめ。 ・数学的思考力とは論理的思考力のことであり、(このエントリーの文脈でいえば) チャート化して考えられる力のことである。 そういうことだった。 で、今日は「論理の飛躍」と「思考の歩幅」について。 <論理の飛躍> まず、…

数学的思考力→『細野真宏の数学嫌いでも〜』②

では、お約束どおり、さっそく『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に 身につく本』 (ながっ)の解説を。 そのまえにひとつだけいっておきたい。 数学的思考力とことばだけ聞くと、ちょっと尻込みしたくなる方がいらっしゃるかもし れない。 …

『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く本』

さきほど谷島屋書店で『細野真宏の数学嫌いでも「数学的思考力」が飛躍的に身に付く 本』を1260円払って購入し、マックでコーヒー一杯だけ注文し、Campusノート片手 にカリカリメモをとっていて、「これは使える」と思ったところがいくつかありました。 …

「ハウルの動く城」はオチがない→『宮崎駿の<世界>』

劇場公開中に『ハウルの動く城』を観たとき、のどに小骨がつっかかったような 違和感を感じた。それは「物語が終わっていない」という違和感であり、今もまだ 刺さっている骨である。 その理由は、三幕構成を(あえて)無視した構成法にあるのではないかと思…

問題を把握せよ

なにをいっているのかわからない議論がある。 なにをいっているのかわからない本がある。 なぜだろう? だいたいは何を問題としているのかわからないことが原因である。 つまり、著者がなにを問題視されているのかがわからない、とそういうことだ。 敷衍した…

回路をまわせ

いいものを見抜く審美眼はある。 これはみんなこっそりと誇っている自信であり、真理なんじゃないか。 「オレうまく表現はできないけど、いいものとわるいもののちがいくらいはわかるよ」と。 だから、映画のレビューがおおいのではないか。 「いい」「わる…

「久米宏のテレビってヤツは」はおもしろい

「久米宏のテレビってヤツは」をみる。 前回みていて面白かったので。 出演者らの発言に欺瞞やウソがないところがいい。 正直かつ誠実に話されているところに好感をいだける。 司会が久米宏だしね。 そこが彼の魅力だよね。 TVにもこのような番組がもっと増…

欲望はどうやって生まれるのか

なぜモテるやつは、とことんモテるのか。 ずっとぎもんだった。 あるモノが人気がでるとなぜ爆発的に売れはじめるのか。 ずっとふしぎだった。 しかし、やっとわかったよ。 それは「入手するのが困難だから」だ。 ん?あたりまえのことをいうなって。 まぁ、…

村上春樹のことば その1

大好きな村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』を再読中。 「ここはメモしておけよ」と自分が自分にいいきかせるので、ここに記しておくことにす る。 交通事故で亡くなった母親の付き人、ディック・ノースについて「とてつもない馬鹿ょ、 あれは」と先日評…

ニーチェ

問うてはならないことを問うこと。 哲学者ニーチェの魅力はそこにある気がする。 われわれが、考えてみようと思ったとき「いや、しかし、これについて考えるのはモラ ルに反するよなぁ」と思考に足かせをかけるものが存在する。 たとえば殺人の事件の動機。 …

メディアとお笑いと責任

朝起きて、平川克美さんのblogを拝読する。 ずいぶんまえから嫌気がさしている「お笑い」番組に関して、するどい考察されている。 そうそう、こういった話が聴きたかった。 のどにずっとひっかかって小骨がとれたような解放感を味わい、溜飲を下げる。 ふぅ…

非モテ男のためのラブストーリー

『40歳の童貞男』や『スーパーバッド』、そして今冬劇場公開される『無ケー カクの命中男/ノックトアップ』『寝取られ男のラブ♂バカンス』を制作している ジャド・アパトーの『フリークス学園』をみる(それにしても、ひどい邦題だ。こ れじゃあ、お客さ…

哲学が宗教になるとき

本日も備忘録です。 まず、宗教とは何か、哲学とは何か、から。 「宗教」が人生や世界についての深遠な問いに対して究極の「答え」を示し、それを 「信じる」ことを要求するのに対し、「哲学」はむしろ人々が常識として無条件に信じて いるようなことを疑問…

ロジックを追え?→『ビジネスマンのための「読書力』養成講座」

せっせせっせと休まず本を読んでいるのに、あまり読み方が上達している気がしない。 知識も積み重なってきている気がしない。まぁ、知識に関してはどんどん忘れていってる こともあるのだが、読み方に関してはちがう。読めない本が多すぎるのだ。 先日マック…

アメリカをすっかり理解する→『アメリカ人の半分は〜』

予想通りというか、なんというか。 『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』(@町山智浩)はアメリカ 社会を見通す視座を獲得できる大変刺激的な読み物だった。 以下、エキサイトティングなところを引いておく。 ・ナショナル・ジオグラフィッ…

備忘録→『哲学の謎』

ウィトゲンシュタインの名訳をされている野矢茂樹さんの『哲学の謎』より。 ・言語がなければ物はたんに個々別々の在り方を示すにすぎない。それらを どのようり括り、どのような一般性をそこに読み込むかは言語によっている。 (p151-152) (自注?:素材の…

世界を言葉で切りとる→『ことばと文化』

1週間ほど前のエントリーですっかり味をしめてしまった。 どうも、癖になりそう。 前回書いたのは、本から適当な文章をコピペしてコメントをつけただけ。 たったそれだけ。 こうして文章の構造を書き出してみると、他のサイトやブログも構造的には一緒かも…

「映画を見る力」

どうしたら、もっとよく映画がみられるのか? 優れた批評文を読めば読むほど打ち拉がれる身としては、悩ましい問題である。 ただ、ひとつだけ分かっていることもある。 それはただ映画を見るだけでは十分ではない、ということ。 なぜって? へっぽこ映画評論…

日記→『拾い物』

なにをgoogleで検索していたのか、どうしてそこに至ったのか、経緯がま るで思いだせないのだが、ジョン・カーペンターの『要塞警察』の動画を偶 然発見する。「おお、これはすごい」。突然の邂逅にビビる。蟄居していた ら、ピンポーンという呼び鈴が鳴り、…

日記→『仮面キャラがいつしか地になる』

本音で語り合うことは良いことなのか。 この本音論について、仲正昌樹氏がおもしろいことを言っている。 しかし、「仮面」を脱いで「本音」で生きるのは、そんなに”すばらしい” ことなのだろうか。常識的なことを言うようだが、筆者は、「本音がいい」 とい…

村上文学に伏流する問い

週末から本日までかけて『海辺のカフカ』再読してみたらこんな文章が心に残った(完全 に備忘録になってます。↓)。 たとえば、これ。 「いろいろなことは君のせいじゃない。僕のせいでもない。予言のせいでもないし、呪い のせいでもない。DNAのせいでも…

レヴィナスの他者論→『ヨーロッパ思想入門』

岩田靖夫著の『ヨーロッパ思想入門』に大変美しい筆致でレヴィナスの他者 論が展開されていたので、備忘録としてここに残しておく。(注:但しワタシ自身、ほとんど内容が理解できていないので、ただの引用 文となっちゃってます。きっと美しさが伝わらない……

わたしは言葉によってつくられる『<宗教化>する現代思想』

どうして同じような歌詞を歌うアーティストが大量にいるのか。 昨夜Mステを見ていたら、何年もまえから疑問に思っているこの問いがまた 気にかかってきた。 どーして、彼らは同じような歌詞を作詞して歌ってしまうのだろう。同じ感 受性を持った人間だからか…

読書→『知識だけあるバカになるな』

偽善系の論者が跳梁跋扈しているTV(とくに『王様のブランチ』のイケメ ン俳優司会者。あの爽やかな笑顔で心にもなさそうな発言は見るに耐えない。 ほかにも同種が多数生息している)にはうんざりしている。わざわざ落ち込 みたくないので、なるべく電源を入…

読書→『脳のはたらきがわかる本』

おとなが買うにはちょっと恥ずかしい岩波ジュニア新書シリーズの一冊、 『脳のはたらきがわかる本』を読む(外見は大人っていうかおっさんだけど、 頭は子どもだから、わたしのような人間は購入することにためらいはないの である)。 面白い。 穴だらけの知…

読書→ダイオキシンは(ほぼ)無害「環境問題はなぜウソがまか

まず、こちらに眼を通していただきたい。 ・リサイクル貢献のため、ゴミを分別は大切である ・地球温暖化によって海水面上昇、生物の絶滅する ・ペッドボトルのリサイクルはエコである ・ダイオキシンが出るから、焚き火は危険である 一読されて、どう思われ…