ロジックを追え?→『ビジネスマンのための「読書力』養成講座」

 せっせせっせと休まず本を読んでいるのに、あまり読み方が上達している気がしない。
知識も積み重なってきている気がしない。まぁ、知識に関してはどんどん忘れていってる
こともあるのだが、読み方に関してはちがう。読めない本が多すぎるのだ。


 先日マックで『資本主義原論』(東洋経済小室直樹)という資本主義の起源から、資
本主義とは一体なんなのかについて明快にに書かれている本を読んでいたら、マックス・
ウェーバーが出てきて、ウェーバーは資本主義の精神についてなにかいってるらしい、と
いうことを知ったので、彼の全体像を掴むために『マックス・ウェーバー入門』(岩波新
書、山之内靖)を手にとった。
だが、これがまるで頭にはいらない。わざわざレベルを落として入門書を選んでるのに。
なぜなんだ?
どうもただの知識不足だけではどうもなさそう、という気がする。


 原因を考えてみる。
ほとんど知識がない分野なのに、知識が定着するまえに次から次へとジャンルを変えて読
んでいくのがまずいのか。
 ありそうな話しだ。
知識が脳に定着させるには、何度も繰り返して覚えたいものをインプットし続けることが
大切だと脳科学者の池谷裕二もおっしゃっている。ある分野(なんでもいいのだが、たと
えば経済学)を勉強しようとするなら、集中的にその関連書を読む必要があるのかもしれ
ない。そうすればとりあえずまとまった知識がインプットされるだろうし。 
 もうひとつ。
自分の読書レベルよりハイレベルなものを選択しすぎている、という可能性。
これもありそうだ。
だが、「自分の読書レベル」ってなんのことだ。
抽象的すぎてまるでわからん。自分でいっておきながらなんですけど。


 どうしたもんかね。
そこで『ビジネスマンのための「読書力」養成講座』を読む。
なるほど。おもしろいヒントが示されていた。
ということで、本日はその備忘プラス解決策の思索。


著者は、「要は、論理がすべてですから、論旨が読める」ようになればいいという。
そして頭がよくなるとは「計算力や暗記力が上がることだけではなくて、論理的思考力の
レベルが上がること」だという。


なるほど。
そうなのかもしれない。
わたしがある分野の本を読めなかったのは、「論理思考力のレベル」の低さだったのかも
しれない、とそういう問題ということになる。
では、具体的にどうやったら論理的思考力をレベルアップできるのか?
そのまえに。
論理的とはなにか。そっちを定義しておくほうが先だ。


「「論理」とは、言葉が相互にもっている関連性にほかならない。」もので、
「典型的には、根拠と結論をつないでいく力、すなわち論証を読み解き、自ら組み立てる
力」であり、「「論理」は(……)意味上のつながり」(『論理トレーニング』、『入
門!論理学』)


のことらしい。
ん?よくわかならい?


たとえば、


空にたくさんの雲がある。こりゃ、明日は雨が降りそうだな。


なんてのは、わたしたちがよくいう論理的な推論である。
これは意味がわかる。
結論の「雨が降りそう」なのは、空にたくさんの雲があるから(=根拠)から、こうした
文が完成する。この文を了解するには、たくさんの雲(=雨をふらす)という前提となる
知識や経験が要求されるが、「雲」という言葉が含んでいる意味をわれわれは知っている
からすぐに理解できる。
「あぁ、そうだろうね、当たり前のこというなよ」、というくらいの感じで。
ここにおいて、言葉たちは意味の上では関連している。
 これが論理である(きっとわからないでしょうね。正直自分もかなり怪しいです。詳細
は『入門!論理学』を参照されるがよろしいかと思います)。


で、著者はこの論理の力を上げろという。
ん?これに力ってあるの?
それに、どうやって?
具体的な論理力アップのノウハウは開陳してくれない。
著者が教えてくれるのは、

2 多くのことと関連づけながら、きっちり論理立てて読んでいく。


ということ。
いや、だから論理立てて読むのとはどういうことなのかを、もう少し詳述してほしんです
けど。
論理に関してはあいまいなのだが、理解力をあげるヒントについては記されている。


わたしにとっての熟読は、ゆっくり読むのではなく丁寧に読むことです。丁寧とは、い
ろいろなことを参照したり、考えたりしながら読むことです。
(中略)
ほかの本を参照したり、いまならネットで関連情報をとりながら読むこともあります。


ということ。
これをまとめると、

1 参照しながら読む
2 イマジネーションを働かせ関連付けながら読む(p16)


となる。で、これはきっと大切。
 経済学の基本的な用語に「限界効用逓減(ていげん)の法則」っていう法則があるけど、
これを1、2回聞いただけじゃ、すぐに忘れちゃう。あれ、どんな法則だっけか、みたい
に。英単語の暗記と一緒。人間、すぐにはおぼえられません。でも、その言葉がどのよう
な事態を現すのかイメージしてみる。
「限界効用」ってのは、あるサービスの一単位を享受するときに得られる満足度のことで、
たとえばビールの一杯目は最高にうまいけど、2杯目、3杯目と飲んでいくと、徐々にう
まさ(=満足)は下がってくる。
そう。諸兄がすでにご体験済みのあの感じである。で、その最後に飲んだビールで得られ
た満足度のことを「限界効用」という。で、その限界効用がどんどん低下していく、つま
り棒グラフで右肩上がりじゃなく、右肩下がりになっていく、のが「限界効用逓減の法則」
という堅いイメージのする法則の意味である。
 こうして考えてみると、「あぁ、そういうことってあるよな」とイメージがもてる。
右肩下がりの棒グラフとビール。次はそのイメージを思い出せばいい。


 結論をいえば、著者がいうのはようするにコレ↓に尽きると思う。

 文章に出てくる「What」を読みながら、
 「Why」が分かるようになるまで読み込み、
 それを「How」として自分のノウハウとし、ほかのことにも応用できるようにする

ということです。
 その力を身につけるには、最初は、とにかく著者の論理を丁寧に追う、そして、そのな
かでひらめきを得るように、意識的にほかのことと関連づけながら読んでいくことです。
すると、どんどん論理的思考力が上がってきます。
 あとで詳しくお話しますが、脚注はその都度読み、場合によっては参考文献の原点にあ
たることです。それが「関連づけて考えていく」訓練になります。(p161)


んー、どうもこれだけで自身の悩みが解決するようには思えないが、いつくかの反省点は
思い浮かぶ。


1. わからないところは「いずれわかるさ」と先延ばしにしてきたこと。
2. はじめて聞く言葉は「ん?どういうことなんだろう?ま、直にわかるさ」と先延ばし
   にしてきたこと(笑)。


 結局自分が行き詰まっているのは、「why」の「先延ばし」にあった。で、その応用
「How」も考えてこなかったから、上達してこなかった、と。
 論理力の高め方は、結局本書では詳しく語られないので諦めざるを得ないが(もし、そ
れが原因なら、『論理トレーニング』をテキストに論トレしたほうが早そう)関連づけて
読んでいく、というのは使えそうなアイデアであったので、ここに書き留めておこうと思
う。