日記→『拾い物』

 なにをgoogleで検索していたのか、どうしてそこに至ったのか、経緯がま
るで思いだせないのだが、ジョン・カーペンターの『要塞警察』の動画を偶
然発見する。「おお、これはすごい」。突然の邂逅にビビる。蟄居していた
ら、ピンポーンという呼び鈴が鳴り、重い腰を上げてのそのそと玄関に向か
っていくと、「ちわー。佐川急便でーす。お届け物をお持ちしました』と言
われ、そういえば以前応募した懸賞に当選したのか、くらいの思わぬ快報に
似ている。これ、いくら探しても置いてなかったんだよなぁ。ほくほく。
 となれば、探していた他作の検索に及ぶのは必然である。
もう少し探索を続けてみると…。やっぱりね。ありましたよ。ポール・ヴァ
ーホーベン監督作、『グレート・ウォリアーズ』が。これはプレミアものだ。
 「自分が欲するものは他者から与えられることでしか手にいれることがで
きない。」というのは、ほんとなのですよね>内田先生。


 一般的に名作や古典的作品と呼ばれるている映画でもまるで置いていない
ということがしばしばある。ヒッチコックチャップリンのような巨匠でい
て、需要もある(←そうなのか?いつもレンタルされてないが)監督作品は
ゴールデンラインに特集看板が掲げられずらっと作品が陳列されてはいるも
のの、それ以外となると壊滅的。
 いやま、商品を買い入れ、回転させてナンボの世界である、という経営方
針は理解出来るよ。資本を投下したら、きっちり投入分を回収し、利潤を生
みだす。それは資本主義社会における経済活動として非常に正しい。ワタシ
とて、それくらいの見識がないわけではない。


 しかしね、いち映画ファンとしては、借りたい作品がどこに行っても置い
ていないことに対する失望感をわれわれはどこへもっていったらいいのかね。
「我々の需要を満たすサービスが出てきた暁には、一斉に乗り換えてやるか
ら、覚えていろよ」と行き場のない怒りは当然キミたちに行き着くわけで。
な。だから、わるいことは言わない。とりあえず過去の名作をもう少し仕入
れようよ。ロングテール商品は利潤が少ないというキミたちの反論はもっと
もだけどさ。


 で、偶然発掘した『グレート・ウォリアーズ』だが、これはポール・ヴァ
ーホーベン監督がハリウッドに渡る前にオランダでとった記念的な作品であ
る。
《舞台は中世末期、一五〇一年のヨーロッパ。騎士やお城やお姫様といった
お伽噺の道具立てがそろった時代劇だが、ヴァーホーヴェンは正確な時代考
証に基づくリアリズムで、メルヘンやロマンを"Flesh & Blood(肉欲と血)"
の海に突き落とす。『グレート・ウォリアーズ』はヴァーホーヴェンが好む
ボッシュブリューゲルが描いた地獄絵図がそのまま動いているような映画
である。》(『ブレードランナーの未来世紀』)


 詳しくは町山さんの『ブレードランナーの未来世紀』に詳しいので参照し
ていただくとして(読んでいて気分が悪くなるほど、陰惨な物語らしい)、
とんでもない代物ということだけはご理解いただけると思う。なんてたって
「地獄絵図がそのまま動いているような映画」だからね。わくわく。ネット
ってすごいね。


 しかし、あらゆるコンテンツがネット上にアップされる(今、劇場公開さ
れている『ハンコック』まであった!)というのはどうなんだろうな。
 すごい時代だなぁなんて陳腐な台詞がつい口から漏れたあとで、劇場公開
中のものまでアップされてはビジネスとしての一面もある映画が成り立たな
なるだろうという気もする。なにも、目から黒い涙を流す少女が「映画が盗
まれている」という映画関係者らの「著作権擁護」論(あのCM最近なくなり
ましたね。英断。)に与するわけでもないけど、映画館でかかっているもの
は映画館で見ようよ、という提案には賛成である。
 映画は映画館で見た方がやっぱりたのしい。
 月並みなものいいだけど、映画館での鑑賞は「映画を体験する」という体
感レベルにおいて自宅鑑賞とはまったくの別物である。同じ映画であるのに、
どうしてそこまで違いが出るのか不思議である。マカヴォイ君とアンジー
演のハチャメチャアクション映画『ウォンテッド』(←サイコー)をみてい
て、しみじみとをそんなことを思った。



追記
ちなみに『要塞警察』はココにある↓。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm1822437


で、『グレート・ウォリアーズ』はココ↓。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm2649244