マイケル・ベイ最新作→「トランスフォーマー」


「トランス・フォーマー」が先日から大手シネコンを筆頭に上映されだした。

本作はマイケル・ベイ監督の最新作である。


ベイ監督といえば、「アルマゲドン」や「ザ・ロック」「パール・ハーバー」「バッド・ボーイズ」

などで有名な典型的なハリウッド監督である。


であるからして、この作品に深みを求めることはできない。


・・・ずいぶんな言い方かも知れない。

しかし、深みを彼の作品で感じたことがない以上、私見ではそうとしか言えない。


っで、問題の深みだが、これはちょっと抽象的な言い方は分かりづらい。

なので「割り切れなさ」と言い換えてみる。うん、この方がいいな。


僕らがよく「あれは深い作品だよ。絶対見てみて。考えさせられるから。」と評し、

友人に薦めるとき、そこに感じているのは、2二元論的に「いい」「悪い」と分別できない

違和感である。この違和感、つまり割り切れなさを感じたとき、僕らは総じてその作品を

「深い」と呼称し評価する。


正義は善。良いもの。推奨されるべきもの。

不正は悪。悪いもの。害を与えるもの。排除すべきもの。


このようにある事象を言い切れてしまえば、歯切れはいいし、心持もいい。

けど、リアルはもっと複雑である。


自己の行為が正義だと信じて麻薬捜査の職務をまっとうしている警官が、

葉っぱをプカプカふかせ、賄賂を取り、人を殺し潜入捜査をする。

そうして悪を演じている間に、知らぬ間に、自身が悪に染まってしまっていたりする。

しかし、本人は正義のための捜査だと思い、遂行している。

現に彼は、そのお陰で大物などを逮捕して成果を挙げている。

(ネタ元「トレーニングデイ」のアロンゾ。)


こういったとき、何が善で、悪なのかわからなくなる。

(というか、そのような境界線がそもそも存在していたかどうか、ということに気付く。)


分からない状態である以上、思考を運動させ、うんうん唸って考えださなくてはならない。

(もちろん、「ま、面倒だからパス」と放棄することもアリ。それが大半が現実…。(恥))


このような刺激を与えてくれる作品を、深いと呼んでいる。


しかし、残念ながらベイ監督のいままでの監督作を回顧してみて、そのようなものに当たる

ものは寡聞にして見たことがない。


どれも、正義は勝つ、悪は滅びるなど、大味。


それがいけない、というわけではない。

大味を美味しく食べる消費者もいるのだから。時に、しょっぱい味は美味しいし。

(楽チン楽チン)


それはそれでいいと思う。


ただ、多少なりともリアルを生き延びてきたものとしては、「そう簡単なものじゃないよなぁ」、と

物足りなくは感じてしまうことも事実。


っで、ここまでダラダラと語ってきたけれど、要は、マイケル・ベイ監督である、というこの事実を

前提として、見に行くか、どうかを検討されたほうがいいのではないでしょうか、という、その一言

である。


たった、これ一言のために長々と書いてしまったものだ。

でも、宣伝会社が映像革命だとかなんとかいって、観客を集客しようとしているから、

多少なりとも意味はあるかとも、自己弁解的ながらも思う。


本作は映像革命的な映像を見せてくれるといわれているが、そんなものどうでもいいもの

である。ひどい物言いかもしれないけど、でもそれってそこまで重要なことだろうか。


映像の革命によって僕らの興味がひきつけられるのは、せいぜいもって5分ほどである。


ピクサーがフルCGで「トイストーリー」を撮り、ウォッシャー・ウスキー兄弟が

マトリックス」で華麗な銃弾よけシーンを僕らに見せてくれたとき、確かに「おお、これは

すごい」と目を瞠り、歓喜の声を上げたのは紛れもない事実(?)だが、2時間ずっと惹きつけ

られていたわけではきっとないと思う。多分アドレナリンが分泌されていたのは、ものの2、3分

ほどである。


宣伝会社さんはコトバの影響力を武器に、そのようなコトバを使って作品を飾り立てるけれど、

それはなるべく慎んでいただきたい。


だって、本作ではどこが「革命的カット」なのかよく分からないし(たしかにその角度から

カメラで撮っているのか?と驚かされるカットはいくつかあるけど。)、そもそもその革命が

どれだけ僕らに意味、メリットを与えてくれるのか、とんと意味が分からないから。


たぶん、刺激だけ。

おおぅ、これは見たことがないぞ!!

・・・っで、終わり。


その結果、得るものが大きければ感謝はするけれども、

少なければ、怒り…とはならなくても、不信感は無意識的にも募るだけだろうから。


あぁ、また大げさにいってらー、ってね。

以後十分にコトバの使い方には、気をつけていただきたい。


・・・って、いつの間にか宣伝会社を叩く話になってしまった。


・・・。

両者に合掌。