読書 「ウェブ時代をゆく」

ウェブ時代をゆく」はここ数ヶ月間に読んだ本の中で、一番興奮を受けた書物である。

著者梅田望夫さんの提案は大変魅了的であり、「社会変化とは否応もなく巨大で
あるゆえ、変化は不可避との前提で、個はいかにサバイバルすべきか」
を具体的事例でもって示してくれるため、身体がゾクゾクし鳥肌さえ立つ。

なかでもロールモデル(お手本)を選び、自分の志向性を発見し、それを
伸ばし、ビジネスにしていくという目指すべき場所の発見の仕方は役に立ちそうだ。

言うまでもなくネット社会は劇的な発展をとげ、自分が知っているだけでも、
youtubeウィキペディアSNSやメルマガ、ネット書店amazonや、
iknow」といったフリーの英語学習アプリケーションと非常に幅広く展開している。

以前は一個人として活動する際、得たいものを得るにはかなりの障害+時間がかかり苦労した。
しかしいまでは欲しいものが簡単に手に入る。(タダで動画、メッセージの受信、配信、無料学習
アプリなどなど。)

調べものをするとき、一昔まえならば図書館にいって書物や新聞をあたらなくてはいけなかったのに
比べ、現在ではググってお目当てのものをものの数分で手に入れられる。

環境があまりに優れ、進化のスピードが速いため、何をしたらいいか迷うぐらいだ。

そんなときどうしたらいいのか?

優れたスペースを放置するだけではあまりにもったいない。
かといって闇雲に手を出しても、ネットサーフィンをしている間に
数時間たってしまったなんてのも惜しい。

ここでロールモデルが役にたつ。

<自分のうちから湧き出てくる何かが具体的に見えずとも、「ある対象に
惹かれた」という直感にこだわり、その対象をロールモデルとして外部
に設定する。そしてなぜ自分がその対象に惹かれたのかを考え続ける。
それを繰り返していくと、たくさんのロールモデルを発見することが、
すなわち自分を見つけることだとだんだんわかってくる。>


こうして自己発見すればいい。

人がエネルギーを注ぎこめるものは、嫌いなもの、ヤラされている感の
するものではない。「好き」であったり「興味」があるものにしか注げない。

だからロールモデルを設定し、「そのどこに惹かれるのか?」と細部まで
突っ込むような自問しつづけ、自分を知るという方法である。

いくつか前のエントリーで書いたが、自分探しという行為に意味はない。
そんなものないからである。
そうではなく、自分の興味・好きの対象を見つけるこの作業は十分な
意味を持つと思う。

ロールモデル思考法とは、ただ「誰かみたいになりたい」「こんな職業に
つきたい」という単純な願望から一歩進み、自分の志向性をより細かく定義
していくプロセスである。
 世に溢れる「人の生き方」や「時間の流れ方」に興味を持ち、それを自分の
問題として考える。外部の膨大な情報の無限性を恐れず、自分の志向性と
波長の合う信号をキャッチできたら、「時間の使い方」の優先順位を変えて
コミットして、行動する。身勝手な仮説でもいいから、これだと思うロール
モデルにのめりこんでみる。
(中略)
「好き」な対象させはっきりすれば、ネットはそれを増幅してくれもする。
この成長とともに、ロールモデルはどんどん消費し新しくしていけばいい。>


というわけですよね。

ネットの可能性を論じるのは浅学無知のため自粛するが、
これを使わない手はないということだけは理解できる。

多くの人が漠然とながら、相当の可能性をネットに見ているとは思うが、
それをどのようにして生かしたらいいのかということになると、
思考が停止しがちになってしまうのではないだろうか。

特にネットを普段の生活の補助的機能として活用している方には
そのような印象を受ける。(気がしてる。もちろん自分含む。)

そんなかたにこそぜひとも読んでいただければ、ネットとはこんな
にも可能性に満ちているのか、と身震いし、自己啓発されるのでは
ないかと思う。

ただワクワクするような影響を受けても、具体的な行動の段になるとつい
おそろかになってしまいがち。

「わぁ、すげぇなぁ。こんどやってみよう。」と思っていた知識も、
次から次へ押し寄せてくる情報の波には勝てない。

今度はめったにやってこない。

しかし、本書から得たネットの無限にみえる可能性をそのままにしておくのは
あまりに惜しいと、個人的に思う。

というわけで、ITリテラシーを高め、今後のビジネスに活かすという
目的を設定し「教科書には載らないニッポンのインターネットの歴史教科書
(たしか日垣さんオススメの書)をアマゾンで注文した。

まずは歴史を学び、概要を掴もうと思っている。
知は活用してはじめて意義をもつものだと思う。
思ったら、すぐ動く。すると忘れさられることはないんじゃないかと思う。

<知をひたすら溜め込み、知の隘路に入り込み知識の多寡を競うために、
知は本来あるのではない。知の意味とは、知を素材にそれを生きることに
活かすことだ。そのために、ロールモデル思考を、システマティックな
思考法として自分の中で標準化することが大切なのである。>


ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)