映画感想→「ディスタービア」

映画感想

最近レンタルが開始されたディスタービアをみた。
なかなかいいですね。これ。



物語は父の死から始まる。
父と息子のケールは釣りに行き、しばらく楽しんだあと、車で帰宅中に
交通事故にあい、父はなくなってしまう。
息子のケールがオヤジの死を経験し、心がささくれる。
勉強もせず、授業も寝てばかり。
家では母親にたいして厳しい言葉や冷たい態度をとったりする。


そんな彼は、ある日教師に父のことを嘲笑され、我を失い殴りかかってしまう。
よって3ヶ月の自宅謹慎をくらうことになる。おまけに足首にGPS装置まで取り付けられ、
家から30m離れると警報装置が鳴り警官がやってくる始末。


このお手上げの状況をケールはX-BOXをしたり、i-tunesで音楽を購入したりしてやり
すごしているんだけど、その環境も母にすべてシャットアウトされてしまう。


「あんたね、この三ヶ月はバカンスじゃないのよ。」


暇つぶしもできなくなってしまったケールは、隣人らを双眼鏡で観察し始めることにする。
すると、そこへヘッドライトのあたりに大きな傷をつけた車が車庫に戻っていくる。
それはTVアナウンスされていた連続殺人鬼の情報と合致するもので、ケールは車の所有者
である隣人のその男を怪しむようになり・・・。


といったところが前半のプロット。
ここからその容疑者である隣人のおやじをケールと親友のロニー、あと隣りに引っ越してきた
美少女アシュリーとで尾行したりして捜査していく。


サスペンスとしてもなかなかのものでケールらが容疑者(隣人のおっさん)を追うシーンは緊張感が
ビシビシ伝わってきて楽しめるし、郊外へ越してきたアシュリーとの絡みも青春を感じさせなかなか良い感じ。
(この女の子がめちゃくちゃ色っぽい。たまらんって感じです。ケールのシャイな性格もまたいい感じです。
ただ中盤〜終盤で、とつぜん二人の関係が急展開するのは残念。もっと丁寧に描いてほしかった。)


ただ本作の残念な点は、ラストシーンの描き方がステレオタイプすぎる印象をうけたこと。
簡単にことが運びすぎるのが難点。


この物語の骨子はやっぱり父の死。
友人との約束を蹴ってまで、父と釣りにいくほどに慕っていた人がなくなってしまったことにより、
ケールの心は深く傷つき、損なわれる。


今回発見した連続殺人者の捜査を通じて、彼は父を失ったことによる死(喪失)から再生する
までの過程を描いている。
ただ、その再生のプロセスが(ラストで描かれるんだけど)なんかあっさりしすぎている気がする。
だから父の死によって損なわれいていたケールの心が「うんうん。再生されたんだね」とは全然思えない。
それが残念。


しかし、その点を除けば(って、一番肝心なところだけど)、結構楽しめる映画だと思う。
ヒッチコックの「裏窓」を思わせ、総合的にはすごく楽しめる映画だった。