「目の前にある誘惑に勝つには」・・・その1

目の前にある「チーム★アメリカ ワールドポリス」がいますぐみたい。


「興行師の映画史」「映画欠席裁判」(共著。もう一人の著者は町山智浩さん)といった
好著を記されている映画評論家、柳下毅一郎さんがblogで2005年ベスト8にあげられていた
作品だからである。(さっきTSUTAUAにいって借りてきちゃった。)
けど、これを見ちゃったら、英語の勉強が今日できなくなる。


しかし、どうしてもみたい。
見ようか、今日は諦めるかさんざん逡巡する。


僕らはつねに、こういった短期的利益(DVDをみる)と長期的利益(英語力を身につける)を
天秤にかけなやみに悩む。
しかし、まぁ、自分の場合、たいてい短期的利益(DVDをみる)が優先される。
よわいよなぁ。


そこで思うのだけれど、なぜ自分に利するところがあまりない(映画はOKだとしても、夜食に
カップラーメン食べて太るみちを行くみたいな)ことを選択してしまうんだろうか。


それを見事説明しているのが「誘惑される意志」という本で出てくる「双曲割引」という概念。


双曲割引?なんじゃそりゃ。
はい。ご説明いたします。


たとえば隣に住んでる謙ちゃんが、このあいだ合コンに誘ってくれたお礼だといって一万円くれるといった。
わぁーい、ありがと。たまにはいいことするもんだ。すると突然の、彼はこんな質問をしてくる。


「ところでその一万円、今もらいたい?それとも1年後にもらいたい?」


さて、どんな気分になるだろうか?
きっと多くの人は「あんた、ばかー?そりゃ、いまだよ。い・ま!」とあまりに愚かな質問をぶつけてきた
健ちゃんを侮蔑するような目でなじりながら、前者を選択するだろう。


ふふふ。思ったとおりである。(だよね?)
実はここがミソなのである。


要するにぼくらは時間が経過すればするほど、一万円としての価値が割引かれたように感じるようにできている。
(あとになれば、謙ちゃんの気が変わってもらえなくなるかもしれないし、今使えばそれをもとでに増やせるかもしれない。)

小さい短期的な誘惑は近くにくると急に大きく見え、まだ遠くにあるもっと大きい長期的な見返りよりも、
一時的に魅力的に見えてしまう!だからこそ、人は何らかの決意をしていても、いざ誘惑が目の前にくると
その判断が一時的にひっくり返ってしまうという現象が起こる。これが、人が誘惑に負けるメカニズムだ。
(「誘惑される意志」p308)


目の前にある「チーム・アメリカ」を見ることは非常に簡単だ。プレーヤーにDVDををつっこんで、再生ボタン
をポチっと押すだけだ。そうすれば、すぐに楽しいひとときが味わえる(はず)。うぅ、うまそう。


でも、その快楽を選んでしまうと(これをお勉強にすれば話しはべつだけど)、のちほど収穫できるはずの
もの(英語力)が身に付かなくなっちゃう。(たった一度欲望に負けるだけじゃないかと思われるかもしれない。
けど、思い起こしてほしい。ほんとに「30分だけ」と思ってやり始めたゲームを30分でやめられたかを・・・。
そしてその敗北は、さらに悪い習慣となっていく・・・。こわ。)


目の前にあるものを選択したいという思い。でも、それじゃあダメになると自分を諭すものがいる。
こうした短期的利益を追求しようとする欲望に抗うためにあるのが意志だ。
意志が「いや、だめだよ。そんなことしたら、いつまでも英語力が身に付かないじゃないか。ほら、さっさと
やっちゃいな。」と自分を叱咤激励して、欲望の誘惑を遠ざけようとしてくれる。


しかし、ご承知の通り、いつも意志のアドバイスが誘惑を退けてくれるとは限らない。そりゃ、そうだよね。
全戦全勝なら問題になんてならないもんね。


じゃあ、意志の勝率をあげるには、どういったことをすればいいのか?を考えなくちゃならない。
けど、ちょっと長くなってきちゃったので、これについてはまた明日!


誘惑される意志 人はなぜ自滅的行動をするのか

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