映画【DVD鑑賞】→「時をかける少女」

自分の運はまずまず、頭もまずまずの平均的人間であると考える少女がタイムトラベル
を繰り返すSF青春映画。



少女は現実におきたバッドな事実を過去に遡って解決をしようとして、タイムリープ(=時間と場所を一気に跳躍して、
現在とは別の時間、場所にいく超能力のこと)する。


親友の男の子に告られるのは恥ずかしいし、どうリアクションしたらいいかわかんないからジャンプ。
チャリンコで坂道を下ってたら、ブレーキがきかず電車に突っ込みそうになり、まだ成仏したくないからジャンプ。
家庭科実習でボヤをだし、みんなにブーイングされる大失敗もジャンプ。


自分にとって不利益なことが生じたら、少女はとりあえず過去にもどって未来を変えようとする。
まぁ、とうぜんだよな。マイケル・J・フォックスもドクがいなくなった世界なんかつまらないから(?)過去に行くんだし。


それにこれは妄想家の夢だよ。失敗を好転させるチャンス!
おれだったら、いつに戻るかな〜。
一生の一度の奇跡が起こった高2の夏かな。
「告られ(かけ)た日」だから。


バイトあがった時、突然同僚の女の子に呼び出されて、そんな話しに・・・。
いち早くそれに感づいた自分は、本題に入る直前に脱兎のごとく走りさり・・。えぇ、あまりに怖かったんでね。
それを悔やみ続けて10年。はぁ〜。やってしまった。
当然、友達にその話しをしたらボロクソに叩かれたよ。
「せめてヤってから逃げろよな。このチキンが」って。
神様、ワンモアチャンス、プリーズ。


過去に戻りたいと想いを馳せるのは、現状に対する耐えがたい不満から生じる。
オーケー。そういうことなのね。


・・・どうでもいい話しで寄り道してしまった。
先を急ごう。


で、少女は突然得た特殊能力をどんどん発揮していて、悲惨な様相を呈する現実をつぎつぎと回避していく。
快適、快適〜。っと思ったのも束の間、あるとき聡明な彼女は気づいちゃう。


自分が幸福になることで、不幸になる人がいる。
これに気づいしまったのが運の尽き。もう自分のためだけには能力を使えなくなってしまう。


家庭科の実習で確かに自分はミスをせずにすんだ。ボヤを起こす前に、知り合いの男の子と担当をチャンジしたおかげで。
とりあえず自分がみんなから非難されることはなくなった。


でも、いいことばかりは続かない。


自分がおかすはずだったミスを男の子が被ることによって、彼はイジメられることになり罪悪感を感じるわ、そのイジメに
よる間接的被害が自分や親友に降りかかってもくるんだから。
世の中いいことばかりはつづかない。


幸福の総量は決まっている。(@本多透)
ってことだよね。


リソースには限りがある。
自我を肥大化させて自己利益の最大化を図れば、結局誰かがツケを払わされるのだ。


六本木ヒルズに住んでるような金持ちがガンガン金を稼げば、郊外に住むしかない一般人もとうぜんいる。
(それが資本主義社会の原則で、後者がとうぜん多数派)


キレイな女の子が世の中に存在している数にも、とうぜん限りがある。
女性すべて田中美穂(ファンなんです)なら、「美人」「ブサイク」という評価は存在しえないし、ブ男に苦労はない。


悲しいけれどこれがリアルな世界の実状であり、大多数の人間が歩まざるをえない現実世界の姿である。


こうした自己利益と矛盾する世界の現実問題(得したいけど、損もしなきゃいけない)をうちに抱えてしまった人間の葛藤。
その苦悩は少なからずぼくらも経験していることであり、ゆえに普遍性を帯び、観客の心のうちにも深く迫ってくる。


さて、そんな世界の実態をしってしまったとき彼女はどうするのだろう?というのはオチなんで当然ナイショ。
ぜひ観て確認してね。
(邦画ではめずらしくイニシエーションをしっかり描いているから、ラストしっかり感動させられます。)

時をかける少女 通常版 [DVD]

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