世界同時不況をざっくり解説→『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? 』

では昨夜の宣言どおり、解説(本の要約)を。
2001年にITバブルがはじけ、続けて9.11テロという惨劇が起こったため、経済が
大きく傾いた(この「傾いた」理由説明なし。なんでだろ?)。
そこでFRB(連邦準備制度)が公定歩合金利)を最終的に1%まで引き下げた。
おかげでお金はすごく借りやすくなり、住宅投資に人々や企業が集まった。
お金を安く借りて、家を買って運用し、利益を上げようとしたのだ。


しかし、なぜ住宅なのか?
アメリカには継続的に移民が流れてきているようで、毎年300万人近い人々が渡
米している。
そんな彼らに必要なものはなにか?
もちろん衣食住であり、とうぜん暮らしの場である住宅の需要は必然的に高まって
いく。
また、アメリカでは土地神話がまだそのころは健在で、土地は絶対に下がらないと
信じられていた。
これを論拠として、住宅ローン会社も投資家筋も消費者もが集った。
住宅ローン会社が、消費者に金を貸し、その債券(お金を返してもらえる権利)を
世界中の金融機関に売り飛ばした。
債券を買い取った金融機関は、それを証券化(転売可能な金融商品)にして、世界
中の投資家やファンドへセールスした。
つまり、アメリカの住宅ローンを債券化した金融商品を世界中の国が保有すること
になった。


しかし、住宅の価格が上がり続けるという状態は続かない。
バブルはいつかはじける。
住宅価値の上昇も2006〜2007年で頭打ちになり住宅の価値が下がってきた(この
根拠も述べられない。FRBが景気の回復をみて利上げしたことが原因なのか?また
は、バブルが崩壊するのに理由なし?)。
住宅の価値が下がると、住宅ローン会社は貸し出しを控え(続けても損するから)
た。また、住宅購入時に組んだローンは3年後から金利が大幅にあがることになっ
ており、低金利のローンに乗り換えるつもりでみんな購入したのだが、ローン会社
がそれを行わなかったため、切り替えができず、多くの人が住宅を売ることになっ
た。
売りが多くなってきたらどうなるだろう?
それは不良債権が大量に発生し、バブル崩壊を意味した。
こうして、「土地の価値は下がらない」という神話=バブルがはじけたのだ。
そして、アメリカのサブプライムローンの証券という金融商品保有している世界
の金融機関はこぞって損することになった。
サブプライムで損をした金融機関は、貸し出しを渋るようになった。
そのため融資を受けられなくなった企業は経営が行き詰まり、株価は低下し(=信
頼低下)、倒産などしていった。
そして職場を失った失業者が多く生じて、消費も落ち込み現在の不況へ突入。
これが現在の世界同時不況の実態である。


本書を読むまで、世界同時不況の辿った道がわからなかった。
結局「数学的思考」がぜんぜん使いこなせてなかったってことだ。
本書では、細かい情報は手に入らない。
しかし、全体の地図を描くことはできる。
足りないところは、個人が必要に応じて情報収集を進めればいいんだし、とりあえ
ずは十分じゃないかな。
上述したような世界の不況を概観するのに情報量はそれほどいらない。
必要なのは、本質的な情報を入手するための洞察力と、それをもとに論理立てて考
える「数学的思考力」(筋道を立てて考える技術)だけだ。


「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った? ~世界一わかりやすい経済の本~ (扶桑社新書)

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