ことばはツール「ことばと文化」


僕らは日常的に、「言葉」を使っている。
ことばなしにはコミュニケーションをとることもできないから、あまりに当たり前のことすぎて日常では意識されることがまずない。でも、意識上に上がることのない言葉は、必要不可欠なものであり、これなしには生活もできない。
しかし、ことばの役割というものはコミュニケーションを図るためものだけではない。

言葉というのものは、混沌とした、連続的で切れ目のない素材の世界に、

人間の見地から、人間にとって有意義と思われる仕方で、虚構の分節を与え、

そして分類する働きを担っている。(『ことばと文化』)


僕らは言葉を用いて、世界を認識する。
例えば、目の前に机があったとする。
これを認識するのに「ことば」がなかったら、どうなるだろう?僕たちはそれを「机」として認識することも、考えることもできない。机という言葉を使うことによって、はじめて対象を扱うことができるようになるのだから。

世界の断片を、私たちが、ものとか性質として認識できるのは、ことばによってであり、言葉がなければ、犬も猫も区別できないはずだ。


事象や物を認識するには言葉がいる。そしてコミュニケーションを図るためにも言葉がいる。
またそれらを基に思考したりするのにも、言葉がいる。
僕らの世界においていかに言語が重要な役割を担っているのか。
普段何気なしに当たり前のように使っている言葉。
しかし実はものすごい便利なツール(道具)だったりするものなのだ。

ことばと文化 (岩波新書)

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