なぜ経済学を学ぶのか→『ライブ・経済学の歴史』


なぜ経済学を学ぶ必要があるのか?

たとえば、新聞の経済欄を飾る解説記事を食わず嫌いで読みとばすことなく、ざっとでも
よいから目を通したうえで、それが正しいか否かを考えられること。経済政策をめぐる論
争が展開されているとき、それが自分の日常生活に影響を与えることを自覚し、自分なり
の立場を決定できること。そういった態度を取れるようになることが、経済学を学ぶ目的
です。(『ライブ・経済学の歴史』,5頁)

ライブ・経済学の歴史―“経済学の見取り図”をつくろう

ライブ・経済学の歴史―“経済学の見取り図”をつくろう


もしこの「現実を相対化するためのツール」である経済学(史)についての知識がなけれ
ば、新聞や本で「景気が悪すぎるから、インフレにすべきだ」(クルーグマンら)と論じ
ている経済学者や権威の主張を、「へぇ、そうなんですか」とぼくらは鵜呑みにせざるを
えない。
何が正しくて、何が間違っているか、その判断の基準がまるでないんだから、これはしか
たない。
しかし、専門家の主張が必ずしも正しいという保証はまったくない。
もちろん、素人である僕らより専門家の主張は高確率で正しいはずである。だから、専門
家ですと名乗っていられるのだろうし、いままでの成果があるからこそ「あの人の言うこ
とを聞いていれば大丈夫なはず」と僕らも彼らに依存して生きていられる。
でも、これが問題になるのは、その専門家がある主張をするうえで下心があるとき、また
はその主張が絶対に正しいという保証がないとき。
後者は世の常。
その道の専門家だって神様ではないのだから、見誤ることはだってあるし、推測が外れる
ことだってある(←これを『数学的にありえない』を読んで強く感じた。絶対確実なんて
ことは、絶対にありはしないのだ)。
だから、すくなくとも彼らの主張を自分で考え判断できるくらいまで教養を身につけたほ
うがいい。
この本ではその判断を下すための教養を与えてくれる(らしい。ぼくはまだあまり理解で
きていないので、ことの成否はわからない)。


本書では「分配」「再生産と価値」「生存」「政府」「効用」「企業」「失業」の7つに
ついて語られている。
どれも根本的なところから語られていて、とても好感がもてる。
精読して、経済に対する理解をぜひ深めたい。
専門家の主張を判断するだけの教養を身につけるために。
…なんか一人で燃えてるな。