知の巨人の読書法→『空気を読むな、本を読め』

アルファブロガーとして名高い小飼弾の新著『空気を読むな、本を読め』を読了。

空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)

空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)

ざっくり読んだ感じでは、期待していた程のものは書かれていなかった。
残念。
本の帯には勝間和代

「IT時代の『知の巨人』小飼弾さんのエッセンスがサクサクと手に入ります。
それは、金銭では決して測れないほどの価値です。」

と大仰なコメントを寄せており、読後感から言えばそれはいささか誇張しすぎなん
じゃないかと思えた。
まぁ、ボクがその「エッセンス」を汲み取れるだけの力がなかっただけかもしれな
い。
認めたくはないが十分にありえる話だ。
とはいえ、「未熟ゆえに何も得られませんでした」とノコノコ帰るわけにはいかな
い。
こちらも1500円と1時間(読書に費やした時間)というコストを支払っている
のだから。
ルーク・スカイウォーカーが旅の末にエリクサー(銀河に平和と秩序をもたらす)
を持ち帰ったように、オレも「本の旅」の末に何か拾いたい。
と、以上のような強欲な心でもって望んだ本の旅の果てに持って帰ってきたエリク
サーを、各章毎にだらだらと箇条書きにしておく(★:自己コメント)。


1章
・プッシュ型のメディア(TV&新聞)の情報(相手が一方的に押し付けてくる情報)
は捨てる。受け入れるのではなく自分から探しに行くのが情報を血肉化するコツ。
★意識的な活動において情報は血肉化される。
誰かに頼ればいいやという気概だと身につかない。
教養番組と銘打たれたクイズ番組を見ても、トイレから帰ってきたらキレイサッパ
リ忘れてるのが、その証左。
受け身ではなにも身につかない。
・読書は食事とおなじようなもの。情報を溜め込むだけで排泄しなければ、単なる
情報メタボ体質になってしまう。
★情報は出してナンボ。


2章

作家の村上春樹さんの言葉(2009年2月、エルサレム授賞式でのスピーチで例示
された『常に卵のそばに』から)を借りれば、「卵でいろ」ということです。壁の
一部になってしまってはいけない。レンガになるということは、管理体制に組み込
まれることを意味します。(p58)

★ずっと「卵」でありたい。
野村監督との確執が報じられたリンデン選手が笑顔で監督に謝罪していた姿にはが
っかりした。
ぜひとも、体制に屈しろ、と堂々とメディアの前で公言(してるようなものだよね)
していた野村監督とは闘ってほしかった。
残念。
・難解本を読破して、自信をつけろ。
★古典を読めばいい。
不況で時間のあまっている今だからこそ、沢山読んでおきたい。


3章 

読書には消化のコツなどありません。何かモノを食べるときと同じように、無意識
で消化されるものです。「上手に消化しよう!」と考えたところで、消化のスピー
ドが上がるかといったら、そんなことはない。
 教えられなくても腸は消化の方法を知っている。同じように、教えられなくても
本は身体で消化できるのです。
(…)
今のところは、とにかく手を動かしてページをめくることをくり返す方が読書マス
ターへの早道でしょう。習慣として身体に覚え込ませる方が、読書の上級者に早く
近づける。
 理解できなくてもいいから、とにかくページをめくってみるのもいい。
(…)
読書は肉体的な行為。だからまず、脳で読めるようになる前に、手で読めるように
なる。(p80-82)

★身体論。
習うより慣れろ。
だそうです。
・読書の質は、読む前と読んだ後にどれだけ自分が変わったかで測れる。その方法
として最適なのは、アウトプット。これで客観的に自分の変化を測れる。
★アウトプットの重要性はどこでも指摘されているが、読書の質(どれだけ自分が
変わったか)の測定法として捉えているのがおもしろい。
・速読の秘訣とは「読みながら考えない」こと
★以前、速読しながら考えることにチャレンジしたことがあるが、それには少なく
とも意識が二つ必要なことを発見した。
つまり、読み進めていく自分と、読んだ箇所についてじっくり考える自分。
これを同時に進めて行くことができなければ、速読+考えるは成立しない。
そんなの無理じゃね?
・はじめて読む本を、考えながら読んではいけない
★一度目は知らない土地を歩いているのにひとしい。
どこになにがあるかまったくわからない。
だから、考えたいならば、まずはおおざっぱな地図を描いてから。
・頭のなかでマインド(心の)マップを書くといい。
★小飼さんの読書スピードをYouTubeで見て、脳の中で情報を効率的に処理をし
ているとは思っていたが、やはりマインドマップを使ってたんですか。
http://www.youtube.com/watch?v=s7wEesGmQQ4&feature=player_embedded#
しかし、世に流布しているマインドマップとは違い、心の中でマップを描くらしい。
なんだそれ?
どうやって描けばいいのよ。
詳細求む。


4章
・安い本で鍛える。単行本ではなく、安価な新書や文庫本をどんどん読め。
★所得がさほどなく、本を多く読みたければどうすればいいか?
いくつか考えられるが、本を自分のものにするという前提を置くなら、安い本(新
書や文庫)を大量に買うしかない。
ハードカバーは重くて高くて読みづらいだけ。
・ケチをつけながら(論破しながら)読む。
★思考力を鍛えるならこれは必須。
で、それに適した本というものがある。
それは、「自分の意見と真っ向から対立する本を読むこと」。
対立する意見の本を読むのは、自分を意見を強化する手立てになる。もし、受け入
れない場合、なぜ受け入れられないのかを自分に説明しなきゃならない。そこで思
考力も鍛えられる。


5・6・7章
割愛


巻末には「小飼弾が選ぶ 最強の100冊+1」と題されたブックリストが掲載されてる。
書評は小飼さんのブログ読めるが、なにが「最強の100冊」なのかが分からない。
なので、このブックリストは参考になる。


追記 2009/10/25

著者自身が「最強の100冊」を公開された。
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51310623.html