今夏最高のコメディ映画→『ハングオーバー』

　ざっくりとした感想を書きます。最高におもしろいスーパーバッドな
コメディ映画でした。あれだけ笑ったのは『トロピックサンダー』*1以
来はじめてです。
　奥深いテーマなどはなく、結婚を数日後に控えた男が、友人たちとラ
スベガスに行き、めちゃくちゃなことをして帰ってくるというお話でし
たが、男同士の遊び方をリアルに描き、またダラしない男が「男」へと
成長*2する姿もしっかり見せてくれる秀逸な作品でした。

　この映画のおもしろいところは、「めちゃくちゃなこと」の描き方で
す。
　どのようにめちゃくちゃなのか。ベガスのシーザーパレスに到着し、
奮発してヴィラ（１泊４５００ドル）に泊まることを決意。悪友４人で
「かんぱーい」と祝い酒を飲んだら次の瞬間翌朝になり、スイートだっ
た内装は支払いを考えるとビターになる部屋に様変わりしている。部屋
のなかはゴミでぐちゃぐちゃ、ソファーは黒焦げで煙が立ちのぼってい
る。床にはコッコッコと鳴きながらニワトリが歩いていて、歯医者の男
の前歯はなぜか抜けている。他の男たちもつぎつぎと起き始める。する
とトイレには虎がいて、クローゼットのなかから赤ちゃんの泣き声…。
そしてどこを探しても新郎が見当たらない。

「なんなんだこれは？」
「昨夜、いったい何があったんだ！？」

というのが、物語の始まりです。
　このようなむちゃくちゃな設定もすごくおもしろくてゲラゲラ笑って
しまったのですが、この作品の脚本が優れているのはそこだけではあり
ません。３人とも酒を飲み過ぎて記憶が飛んでしまっていて、昨夜ので
きごとをまったく覚えていないことです。
　これは困った。というわけで、部屋に残された３人はヒントを手がか
りにして、昨夜自分たちが何をしたのかを暴いていく、という探偵映画
のみたいになってきます。つまり、物語が進んで行くことで、昨夜の
「めちゃくちゃなこと」が次第に判明してくる、という構造になってる
んです。

　この映画は最後までおもしろくて、エンドロールではじめて伏線が回
収されたりします（歯医者の男の歯がなぜ抜けていたのか、など。抱腹
絶倒という言葉の意味を知りたければ、ここまで見ればいい）。
　今年の夏はバカ男４人組と旅に出て、たくさん笑いつつ、しっかり
「男」を磨いておきましょう（笑）。

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*1:http://bit.ly/amEqFS

*2:ヒント：スチュ（歯医者の男）てか、この人しか成長する余白がない