ゼメキスとドナーの『クリスマス・キャロル』
ちょっとまえにロバート・ゼメキスの『DESNEY'S クリスマス・キャロル』を見たんです。
これ、すんごく退屈で見てられませんでした。
導入部がヘタクソすぎるんですよ。
リチャード・ドナーの『三人のゴースト』と比較するとよくわかるんですけど、ゼメキスのは主役の悪性を引き立ててくれる脇役がダメなんですよ。
ゼメキスとドナーの主役はおなじ守銭奴で嫌なヤツなんですけど、その被害を受ける脇役がちょっと違います。
ゼメキスの脇役は楽天家の甥っ子です。
彼は妻も友人もいないスクルージをクリスマスディナーに誘います。心のやさしい男です。でも、スクルージはあっさり断わります。
「わしゃ、そんなもんには死んでも行かんぞ」
しかし、甥っ子は諦めません。何度も何度も誘い、そのたびに断られます。4、5回それを繰り返して、彼はようやく諦めます。
そして「おじさんはなんだってそう一人でいたがるんだ」と朗らかに笑い飛ばします。
あれだけ断られて、「ったくおじさんて人は(笑)」ってこれだけなんですよ?甥っ子は怒ったり悲しんだり凹んだりしないんですよ。
オレなら1回で諦めて凹むけどな。
ドナーの脇役は家族を抱えた中年のお父さんです。
スクールジー役であるビル・マーレイはクリスマスイブの夜にそのお父さんをリストラします。リストラした理由は社長である自分の仕事に異論を述べたからです。それだけです。
クリスマスの夜にリストラですよ?あまりにそれは可哀想だ、ということで秘書がマーレイに直訴します。すると「おまえも職をなくしてやろうか」的なことをいって彼女を脅します。もちろん彼女はそれ以上口をはさむことができなくなってしまいます。
リストラされてしまったお父さんはどんな顔をして家族の元に帰ればいいのか、と途方にくれながら帰路につきます。
家族は自分の帰りを待っててくれるのに、自分は不幸な知らせを持って帰らなければいけない。
これで共感しない人はいないですよ。だからよりビル・マーレイの悪役っぷりが際立つし、このクソ×××がどんな運命になるのか見守る(というか、罰せられることを望むw)んですよ。
最高のオープニングです。
でも、ゼメキスのにはこれがない。
だって凹むことを知らない甥っ子が脇役ですからね。甥っ子が傷ついていない以上、共感のしようがないですし、スクールジーの悪っぷりもたいしたことがなく見え、「ちょい嫌なヤツ」程度にしかなりません。
クリスマスシーズンにはリチャード・ドナーの『三人のゴースト』がオススメです。
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