型から数を取り戻すための『速算術入門』
問題です。
ビックカメラで7588円の扇風機を買うために1万円札で払いました。
さて、お釣りはいくらでしょう?
10000−7588=???円
この引き算を何秒で解くことができるでしょうか?
ぼくは1秒で解けました。それも暗算で。答えは2412円です。
これでドヤ顔をしているヤツがいたら、とんでもなく痛いヤツですが(笑)、小学校で習った引き算では4、5秒はかかりますよね。 しかも、紙と鉛筆が必要です。しかし、ぼくが使っている計算方法では1秒で解けます。
どうやって解いたのか? 「補数」という概念を使って、です
たとえば、10から9を引けば、残りは1です。そこで、9の補数は1である、といいます。また逆に、1の補数が9である、といってもよいわけです。(『速算術入門』P.1)
さきほどの問題の場合、7588の補数は2412になります。
図化すると、
7→2(合わせて「9」にする)
5→4(同上)
8→1(同上)
8→2(一の位だけは、合わせて10にする)
になります。
ご覧いただければ分かるように、合計して「9」になるようにしていただけなのです。つまり、四則計算で一番かんたんな「たし算」をしていたんですね(笑)。補数の使い方を知っていれば、だれでも1秒で解けます。
また補数は、引き算・かけ算・わり算といった四則計算すべてに応用可能な概念です。応用範囲がハンパなく広い。飲み会などで割り勘にする場合にも、もちろん応用可能です。便利です。
さて、この肝心の速算を鍛えるためには、『速算術入門』にのっている例題をガンガン解けばおkです。手を動かした分だけ、速く計算できるようになります。
すげぇな>補数
しかし、しかしです。話しをひっくり返すようですが、本書の魅力は速く計算できることではないと思っています。「数の捉え方」を根本から覆す、「認識の転換」にこそあるのだと思います。
さきほどの問題に戻って説明しますね。扇風機のついでに248円の蚊取り線香も買うことにしたとします。
すると、
10000−7588ー248=???円
という計算式になります。なんか、もう、計算するのが面倒くさくなりますね。
形式的に解こうとすると、まず1万から扇風機代を引いて、さらに蚊取り線香代を引くことになります。こうなると、とても補数をつかっても1秒では解けません。すこし工夫が必要です。
では工夫してみましょう。
まず、引く数を切りのいい数字にしてしまいます。7588を7600に(+12)、248を250(+2)にします。そしてそれらを足し算します。7850になりますよね。そこから足した数を引きます。7836になります。さいごに、この補数を計算します。2164。これが答えです。
10000ー7588ー248
=10000ー(7600ー12+250ー2)
=10000ー7836
=2164
こうして文章にしてみると、手間がかかっているような気がします。ただ実際に計算していただければ普通に引き算するよりもラクなことを実感できると思います。なによりも、こちらの計算の仕方のほうが楽しいはずです。
なぜか? 自分の頭をつかって解いた気がするからです。
義務教育で学んだ計算方法は、たしかに日常生活の役に立っています。無理やり覚えさせられた九九なども、なくてはとても不便です。しかし、それはあまりに形式的であって応用が利かないんですね。だから、教わった型通りの計算しかできない。どうにも不自由で楽しくないんですね。
型はさんざん鍛えてきました。もう「守」る必要はありません。「破」るときです。数をこの手に取り戻すために。
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