リスクを取らないことがリスク:『リスクの正体』


リスクの正体!-賢いリスクとのつきあい方 (木星叢書)

リスクの正体!-賢いリスクとのつきあい方 (木星叢書)


 リスクとは「予測できない危険」のことです。なるべく避けたほうがいいものだと考えられてますし、実際ぼくたちはそのように行動しています。具体的に言えば、将来事故に遭ったり、病気になったりするリスクを回避するために保険というものに加入していますよね。お金というコストはかかるものの、予測できない危険から生活を守ることができ、少しは安心して暮らすことができるようになります。
 

 しかし、リスクを取らないことがリスクになる場合があります。
 たとえば告白しないこと。好きな女の子に告白するリスクは、相手にフラれるのではないか、いままでの関係がこわれてしまうのではないか、など様々な危険があります。そのよう危険から身を守るためには、告白しないことを選ぶことだってできます。恋人関係になることはできないけれど、フラれることもありません。が、リスクを取らないことが事態を悪くすることもあります。仲良く遊んでいたら、いつのまにか彼女には彼氏ができていて、人生で一番へこんだなんてのがそれです(注:実話です)。


 「失敗は成功のもと」ということわざがあります。最近、それってまんざらウソではないよなぁと考えるようになりました。失敗することで、成功するための材料が手に入るから。逆に言えば、チャレンジして失敗しなければ永遠に手に入らない、貴重なデータわけです。
 だったら、リスクを取るべきものについては、なるべくはやくチャレンジして失敗したほうがいい。それも数多く。失敗しただけ、成功確率が上がるから。
 

 もし条件をつけるとしたら、ゲームーオーバーにならない程度にリスクを取れ、ですかね。
 いきなり告白するのはゲームーオーバーの確率が高いですから、彼女と仲良くなれるような行動を少しずつする→失敗する→修正して行動する、という手順を繰り返していったほうがよほど確率は上がると思います。
 でも、それがカンタンじゃない。

 
 以前、ぼくは「人は、可能性を手放すのが本当に嫌い」だと書きました。
 しかし、可能性を手放さないことこそリスクのようです。

もしこの「可能性」の価値を失いたくないとすれば、どれも選択しない、という最後の選択肢に価値を見いだすかもしれない。何も選択しないことで、なんでも選択できる状態を保つ、つまり「選ばない幸せ」を選ぶわけだ。(中略)それは一つの前提条件を暗黙裡に想定している。それは、「選択権は消滅しない」ということだ。(中略)選ばずにおいておくと、選択しそのものがなくなってしまったり、その価値が失われていったりしてしまうことがあるのだ。


 そう、「選ばない幸せ」。選ばないことを選ぶならば、人はいつまでも「可能性」を持ち続けることができる、ように思います。しかし、実際のところはちがいます。前出の実話のように、選択肢はいつのまにか消滅することがある。「選ばない幸せ」のトレードオフは「選択権の減少(or 消滅)」なんです。そろそろ選ぼうかなと思ったときには、ときすでに遅し。選択肢はすでに無くなりました、なんてこともあるのだから(笑)


 時間は止まってくれません。こちらが歩みを止めても、時間は足を止めることなく一人勝手に進んでいきます。人も状況も環境も変わっていく。変わらないのは自分だけ。
 厳しいよなぁ。


 しかし、とはいっても腰は重い。だからこそ、いままでリスクを取らずにきたのだから。
 いまのぼくには、リスクは取った方がよさそうだとは言えても、こうしたらリスクが取れますよ、という解決策は思いつきません。
 う〜ん、どうしたらいいのだろう?


 これは妄想ですが、ある思考実験的映画を観たいです。
 もし主人公が何も選ばないことを選んでいたら、どんな未来になるのか?という映画を。
「選ばない幸せ」をよく知っているぼくでも、その先の未来がなんとなく透けて見えるから、尻に火がつけられるのではないかと思って。
 なにか良い手はないかな。