2×2マトリクスで判断基準を作る:『自分のアタマで考えよう』その3


 ひとつまえのエントリで、「意志決定モデル」の作り方を書きました。
 今日はより具体的な判断の仕方、「2×2マトリクスで判断基準を作る」です。


自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう

どのキャリアのどのプランにしたらいい?


 たとえば携帯電話を新しく契約しようとすると、いろいろな問題が出てきます。


・キャリアはどこにする? docomo? au? SoftBank?
・ケータイはスマートフォンガラケー、どっちにする?
・使用料金の予算はいくらにする? 3000円? 5000円? 10000円?
・パケット放題にするorしない?
・電話をよくかけるorそこそこorかけない?


 このように検討すべき項目がすごく沢山あるんですよね。
 キャリアを選ぶためには、以上のようなことを考えなければいけないため、新しく契約したり、プラン変更したり、機種変したりするのがすごく面倒に感じます。「よく分からんから、いまのままでいい」という理由で変更しない友人もいます。
 そこで各キャリアは、ホームページにクリックしていくだけで最適なプランが分かる仕組みを設けてあります。


docomo お支払いシミュレーション http://www.nttdocomo.co.jp/charge/simulation/index.html?icid=CRP_CHA_rec4_simulation
au料金クリニック http://www.au.kddi.com/clinic/index.html
SoftBank 機種変更料金シミュレーション http://mb.softbank.jp/mb/support/change/simulate/simulator/#!/iphone


 ただし、これは「各キャリアが自ら設けている」というところがポイントです。自社以外のキャリアを薦める会社はありません。自社の製品と料金体系をオススメする仕組になっています。だから加入者は悩むんですよね。どこのキャリアも「我が社がベストです」とはいうけれど、実際どこがベストか分からないから。

 
 そもそも論になってしまいますが、すべてにおいて優れているキャリアというのは存在しません。もし存在するとしたら、一人勝ちしているはずです。でも、現実はそうなっていません。キャリアごとにシェア率はことなるものの、DocomoAusoftbankとバラけています。
 なぜバラけているんでしょう? どこのキャリアにも、一長一短があるからですよね。


docomoなら電波の入りがいいけど、料金がやや高め。
auなら電波はそこそこだけど、WIMAXが使える。
SoftBankなら電波の入りは微妙だけど、iPhoneがある。
 (※AUiPhoneを提供し始めたので、それまで独占していたSoftBankの競争優位性はかなり凹んだような気がします)


 さて、ではどうやってキャリアと契約すればいいんでしょうか?
 それは契約者によって変わってきます。


・機能なんかはショボくていいよ
・料金が安ければいいよ
・電波の入りがよくなきゃ仕事になんないんだよ
・ネットをガンガン使いたいな


 個人にはそれぞれの事情や願望があります。だから万人に向いた提案というのは原理的に不可能です。そこで自分の大切だと思うものをリストアップして、プライオリティ(優先順位)を付ける必要があります。これはなかなか面倒なんですが、売り手と書い手という関係性である以上、これだけは他人による代行はむずかしいです。

2×2マトリクスを書いてみよう


 さて、優先順位を付けた後、上位1位と2位を縦軸と横軸に書きます。

例. 1位:価格 2位:機能


 この右上にくるキャリアやケータイを選べばいいわけです。このマトリクスでいえば、ソフトバンクスマートフォンiPhoneになります。
 でも、「現実はそんなに単純じゃない。大切なものがいっぱいあるじゃないか」という向きもあるかもしれません。たしかにその通り。現実はそんなに単純じゃないと思います。でも、物事を判断するときに、これ以上複雑なことを織り込りこもうとするのは、ちょっと難しいじゃないでしょうか?

世の中は複雑です。大事に思えることはたくさんあります。でも、だからこそ「その中で、もっとも大事なことはなんなのか?」という点を見極める必要があるのです。そして、多くの選択肢の中から大事なものを見極めるためには、あえてシンプルな基準が必要なのです。(p131)


 世の中にあるものは、すべてトレードオフです。何かを選んだら、何かを失うようにできています。こちらの希望を全部兼ね備えているような美味しいものはありません。彼氏彼女、夫や妻にすべての希望を求めるのは不毛ですよね? だから、「これだけは外せない」という大切なものを選択基準にしたほうが、ハッピーになれる確率はずっと高まるはずです。
 2×2マトリクスは、そんな幸せをアシストしてくれます。