映画

カラフルなじぶん→『カラフル』

クレヨンしんちゃんで金字塔を打立てた原恵一監督の『カラフル』を観てきました。 原恵一の作品はクレヨンしんちゃんの「オトナ帝国の逆襲」と「戦国大合戦」と、あと は「河童のクゥと夏休み」を観たくらい。 で、今回の『カラフル』。 タイトルにカラフル…

世の中のルールを知る→『カイジ〜人生逆転ゲーム〜』

先日、誕生日プレゼントをくれた友人から映画版『カイジ』の感想を聞いたので、本日はそのネタを書きたいと思います。 予告編から怪しげな感じは際立っていますが(ここでひとつ予言しましょう。「ラストであなたは必ずや吹くでしょう!」)、感想を聞くのは…

人はイメージで判断してる→『ゴールデンスランバー』

堺雅人が主演の『ゴールデンスランバー』を観た。 タイトルに使われている『ゴールデンスランバー』とはビートルズの楽曲から引いてるもので「黄金のまどろみ」という意味*1。 まどろみという表現は暗喩的で分かりづらいけど、これはおそらく「キラキラ輝い…

「見えない」ものを「見る」方法

このあいだ『批評理論入門』という本を読んだんですが、読んでいて発見したことがあっ たので、今日はそれを書きます。 批評理論入門―『フランケンシュタイン』解剖講義 (中公新書)作者: 廣野由美子出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2005/03/01メディア…

これは夢か現実か→『インセプション』

『ダークナイト』で批評家たちに大絶賛されたクリストファー・ノーラン監督の新作『インセプション』を観てきました。 これがなかなか面白かったんですよ。 映画自体はそれほどだったのですが、モチーフがなにより興味深かったんです。 で、この映画が何を問…

非モテ&SWファン必見→『ファンボーイズ』

スターウォーズが大好きなオタク4人組が『スターウォーズエピソード1/ファントム・ メナス』公開を待ちきれず(時代設定:1998年)スカイウォーカーランチにフィルム を盗みに行くというおバカコメディ映画『ファンボーイズ』を見ました。 これ、TSUTA…

今夏最高のコメディ映画→『ハングオーバー』

ざっくりとした感想を書きます。最高におもしろいスーパーバッドな コメディ映画でした。あれだけ笑ったのは『トロピックサンダー』*1以 来はじめてです。 奥深いテーマなどはなく、結婚を数日後に控えた男が、友人たちとラ スベガスに行き、めちゃくちゃな…

責任を引き受けることで大人になる→『アリス・イン・ワンダーランド』

見てきましたよ。 ティム・バートンの『アリス・イン・ワンダーランド』。 じゃ、簡単に映画評をば。 ざっくりいうと、少女が「ワンダーランド」を旅して、大人になって「現実 の世界」に戻ってくるという話。 この作品で問われいるのは「決断」ですね。 ワ…

自分を決めるのは自分自身だ→『アイアン・ジャイアント』

むかし、スガシカオの「progress」という曲を聴いて違和感を感じたこと がある。 ぼくが歩いてきた日々と道のりをほんとは"ジブン"っていうらしい どうも自分とは過去に「あった」もののことを言うらしいな、と人生の先輩 に言い放たれて、それってなんかヘ…

精神異常者とはオレたちのこと→『シャッターアイランド』

注意 :オチに触れてます。 というか、オチだけを語ってます。 「それが何か?」という奇特な方だけお読みください。 もう事前に予告編見たくないです。 なぜなら、予告編には重大な「手がかり」が示されていたから。 1 脳科学者の池谷裕二さんによる説明。…

愛の物語のアップデートを→『プリンセスと魔法のキス』

リロ・アンド・スティッチ以降当りがなく窮迫していたディズニーから依頼され、その子会社である高品質映画製造メーカーピクサーのCCOジョン・ラセターがクオリティに介入していっただけあって、本作は前作ボルト同様、「人生において大切なこと」を教えてく…

 アバターは芸術?→「岡田斗司夫のひとり夜話7」

「岡田斗司夫のひとり夜話7」(in 大阪)に参加してきました。 大阪まで片道250km。 往復で500km。 新幹線を使ってもこの距離はなかなかw まぁ、それはいいや。そのイベントで岡田さんが3時間ずっとしゃべり倒していてすごく面白かっ たんだけ…

フィクションにも真実味→『少年メリケンサック』

クドカンの『少年メリケンサック』を観た。 お話のプロットは、25年前にパンクバンドを組んでいたおっさんたちが、レコード会 社に勤める宮崎あおいの御眼鏡に適ってパンクバンドを再結成したけれど、問題が多発 してうんぬんという映画である。 クドカン…

物語ではなく音楽を→『パイレーツ・ロック』

前評判がなかなかいいので、『パイレーツ・ロック』を隣県まで車を飛ばして見てきた (地元の映画館TOHOでは公開予定なし!まったく)。 じゃ、簡単な感想をば。 キャラクターの掘り下げ方があまあま。 たとえば、『ノッティングヒルの恋人』のリス・エヴァ…

資本主義は「悪」なの?→『キャピタリズム』

先日、マイケル・ムーアの新作『キャピタリズム』をみた。 ムーアがこの『キャピタリズム』のなかで夢想していたのは、 「資本主義、氏ね。オレたちに必要なのは民主主義だ」 というものだった。 ムーアは金融危機を引き起こし世界中に経済危機を招いた犯人…

圧倒的な映像美だけど…『ラブリーボーン』

笑いを誘うオープニング 作品のトーンに反してのっけから笑わせてくれる映画だった。 モールの書店でファッション雑誌を立ち読みしていた美少女スージーは、それでさっと顔 を覆い隠す。 隣にいた叔母(スーザン・サランドン)は、「どうしたのスージー?」…

ヒーローとシンクロする→『XYZマーダーズ』

『XYZマーダーズ』★5 監督:サム・ライミ 80年代の作品が内包するあの独特のトーンにこの作品もその例外となることなく 包まれている(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』とか)。 この頃の映画がもつこの雰囲気は、見ているだけで幸せな気分になる。 あ…

『40歳のバージンロード』

『40歳のバージンロード』(原題:『I Love You,Man』) ★4 監督: ジョン・ハンバーグ 出演: ポール・ラッド, ジェイソン・シーゲル 友達が一人もいない男が、結婚式のためにベストマン候補を探し、見つけ、親密に なり、ケンカし、仲直りする話。 ざっく…

『96時間』

ストーリーはツッコミどころ満載。 リーアム・ニーソンは誘拐された娘を救出するために法を軽くは50は破ってるだ ろうし、なのにまったく罪には問われないし(←むしろヒーロー扱い)、 愛娘を 救出するためには手段も方法も文字通り選ばない姿には、呆れ…

『ボルト』

犬を飼ったことのある人には、「あるある」が多数発見できる映画になっている。 きっとバイロン監督らは仔細に犬を観察したのだと思う。 でなきゃ、飼い主が家をあとにするとき、犬がくぅ〜んとちょっと高くて甘えた声を出し ながら顔をすりつけてくるあの犬…

『もしも昨日が選べたら』

仕事より家族の方が大切だぜ。 この家族至上主義の話にどうもよわい。 おもえばマイフェイバリットムービーの『天使のくれた時間』もおなじ話形 だ。 家族を幸せにするためという大義名分を掲げながら家族をまったく顧みずに 仕事に没頭する男が、ある出来事…

『崖の上のポニョ

どうしたんだろう。 宮崎さんは大丈夫なのだろうか。 一年ほど前ポニョが劇場で公開されるまえに予告編をみた。 「これはまずいだろ」と冷笑してしまい、劇場鑑賞は見送ってDVD鑑賞にしたのだ けど、あのとき直感的に抱いた印象は的を得ていた。 以下、ポニ…

『たそがれ清兵衛』

『たそがれ清兵衛』★2 下級武士の井口清兵衛(真田広之)は、離縁し実家に帰ってきていた幼馴染みの朋 江(宮沢りえ)と密かに想い合いう間柄なのだが、身分の差が障害となって結婚に 踏ん切りがつかないでいる(で、ビビって、向こうからの縁談を蹴ってし…

『エヴァンゲリヲン新劇場版:破』

かなりネタバレしてます。 ご注意ください。 『エヴァンゲリヲン新劇場版:破』★5 総監督:庵野秀明 大傑作。 前作より約二年の月日を経てようやく上映に至った本作は、新しいまったくエヴァ ンゲリヲンである。 序盤、アスカが2号機に乗って空から落下して…

『ラン・ファットボーイ・ラン』

『ラン・ファットボーイ・ラン』★5 サイモン・ペグは「大人になること」に興味があるのかもしれない。 『ショーン・オブ・ザ・デッド』でも、責任を取る事ができないダメ男がゾンビと の決闘において愛する人を失い、また許し、大人になる物語が描かれてい…

『エグザイル/絆』

映画に多大な期待をして鑑賞に臨んだとき、作品の質がそれに大きく背くときのがっかり 感はなかなかのものがある。 しかし、期待していた作品が「上質」だったと頭では感じていても、なぜか心が揺さぶら れず、無理に感動しようとしてどこかに理由を探してい…

レンタル6本+『ハッピーフライト』

数日前にTSUTAYAで、 『その男ヴァン・ダム』 『ヘルボーイ ゴールデン・アーミー』 『ハッピーフライト』 『俺たちに明日はないッス』 『秋深き』 『トウキョウソナタ』 の計六本をレンタルした。 見応えのありそうな作品ばかりである。 個人的に注目してい…

『デトロイト・メタル・シティ』

『デトロイト・メタル・シティ』★2(監督:李闘士男) ・目立つ瑕疵が二つある。 ひとつは松雪泰子のキャラクターが痛々しいこと。 人を自分の思いのままに動かせる権力の気持ちよさによって「キャハハハハハ」と松雪さ んが高笑いするんだけど、あれはマン…

『グラン・トリノ』

「グラン・トリノ」★5(監督:クリント・イーストウッド) ●チェンジリングに続く傑作。 舞台はアメリカのデトロイトの小さな町。 ガチガチの人種差別主義者の元フォード工ウォルト・コワルスキー(クリント・イースト ウッド)はその地に一人残って暮らし…

『スラムドッグ$ミリオネア』

『スラムドッグ$ミリオネア』★4(監督:ダニー・ボイル) ・宗教的怨恨によって暴徒により母が殺され孤児となったジャマールと兄サリーム。 彼らは身に迫る危険から逃げ出すために駆け足でその場を去るのだが、その途中でラティ ーカという同じく母を失った…